誠-巡る時、幕末の鐘-
「我を忘れて、傷つけちゃいけない人達まで傷つけて……。
人間がこんな簡単に死んじゃうって忘れてた。
いつか私はみんなにおいていかれる。
だから、今回のことを理由に使ったの!!
私はもう……大切な人を失いたくないの」
奏は両腕をかき抱いた。
「……ふざけないでよ。じゃあ僕はどうなるの?ずっと一緒って約束したよね?」
今まで黙って傍観していた珠樹が、静かに怒気を含んだ声を出した。
「だから言ったでしょ?……ごめんねって」
「聞こえない!!そんな言葉!!」
「聞こえてるじゃん」
奏は薄く笑った。
「お前は俺達をなめてるのか?」
土方が眉間に皺を寄せて言った。
「俺達はそんな簡単に死んじまう程やわにできちゃいねぇ。てめぇはてめぇの心配をしろ」
「そうだよ。術を使い過ぎただけで熱出して寝込んで……。僕達より、君の方がよっぽど僕達をおいていきそうだよ」
沖田が土方の言葉に続けた。
いつもの飄々とした声音ではなく、真剣なそれだ。