誠-巡る時、幕末の鐘-



「お待たせ。広間に行こ」




奏は珠樹の手を引っ張った。


そのまま連れていかれながら、珠樹は奏の背中をジッと見ていた。




「みなさん!!おはようございます!!」


「あぁ、おはよう」


「ゆっくり眠れましたか?」


「はい!!」




奏は笑顔で答えた。


ここ最近の作り笑顔や、淋しげな笑顔ではないことにみんなは安堵した。




「奏君。実はな、元老院の方々が今日ここで裁定を下すと言っていてな」


「今日、ここでですか……?」




奏の顔が曇った。


自死はもうしないとはいえ、どのような厳罰が下るかは分からない。




「丁度朝飯を作ろうとした時にやって来られてね。今「ミエ様はどこですか!!?」




沖田の襟元を掴み、慌てたように尋ねた。




「今、食事を作ってくれてるよ」




ドッカーン!!!




「……たぶんね」




顔を引きつらせて奏は勝手場へ走っていった。



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