誠-巡る時、幕末の鐘-



すっと襖が開けられ、年老いた男が三人、コリンに連れられて入ってきた。




「広間の周りに結界を張っておいた方がよさそうだね。煩くて耳障りだ」




指をパチリと鳴らすと、周りからの音が一切途絶えた。


不可視の壁がレオンによって作られたのだろう。




「ではこれより裁定を始める」




その一言に、今までとは違う空気が流れた。




「雷焔奏。お前は風戸の里で真実を聞き、我を忘れて暴走した。その結果、負傷者を大量に出し、そこにいる人間にも手を出した。間違いないな?」


「はい」




淡々と事実確認をするセレイルに、奏も粛々と頷いた。


セレイルは沖田と藤堂の方を見た。




「だが、そのようには見受けられない。みんな元気にしているようだが?」


「それは……その」


「お前達もどうだ?」




セレイルは横にいるレオン達に聞いた。




「僕も誰かが怪我してるようには見えないよ。強いて言えば、僕達の方が疲労困憊だね」


「見えません!!何もなし!!」




レオンは肩を竦め、ミエは片手を大きくあげて答えた。


奏は目を丸くしている。



< 507 / 972 >

この作品をシェア

pagetop