誠-巡る時、幕末の鐘-
すっと襖が開けられ、年老いた男が三人、コリンに連れられて入ってきた。
「広間の周りに結界を張っておいた方がよさそうだね。煩くて耳障りだ」
指をパチリと鳴らすと、周りからの音が一切途絶えた。
不可視の壁がレオンによって作られたのだろう。
「ではこれより裁定を始める」
その一言に、今までとは違う空気が流れた。
「雷焔奏。お前は風戸の里で真実を聞き、我を忘れて暴走した。その結果、負傷者を大量に出し、そこにいる人間にも手を出した。間違いないな?」
「はい」
淡々と事実確認をするセレイルに、奏も粛々と頷いた。
セレイルは沖田と藤堂の方を見た。
「だが、そのようには見受けられない。みんな元気にしているようだが?」
「それは……その」
「お前達もどうだ?」
セレイルは横にいるレオン達に聞いた。
「僕も誰かが怪我してるようには見えないよ。強いて言えば、僕達の方が疲労困憊だね」
「見えません!!何もなし!!」
レオンは肩を竦め、ミエは片手を大きくあげて答えた。
奏は目を丸くしている。