誠-巡る時、幕末の鐘-



「お前達はどうなんだ?被害者らしいが」




セレイルは沖田と藤堂にもその瞳を向けて尋ねた。


二人は顔を見合わせた。




「知らないよ。そんな事」


「あぁ。俺達、風戸の出した条件を実行しに行っただけだしな!!」




沖田は鼻で笑い、藤堂は勢いよく答えた。




「よし。本人達がそう言っているんだから間違いはない。お前は無罪だ」


「む、ざい?」




信じられない判定に、奏は戸惑っていた。




「何を言っておる!!」


「こいつは風戸を滅ぼしかけたのだぞ!!?」


「無罪だなどと!!甘過ぎる!!」




風戸の年長者達が判定に異を唱えた。




「では聞くが。その昔、雷焔の里を滅ぼすために一人の子供を送りこんだそうだが?それは事実か否か?」


「そ、それは……」




セレイルに厳しい瞳を向けられて、押し黙ってしまった。


図星を言われては返す言葉もない。



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