誠-巡る時、幕末の鐘-
「事実だよ」
凜とした声が広間に響いた。
そこには、フェルナンドに支えられた彼方の姿があった。
「遅かったね、フェル」
「すみません。あなたの結界に手間取って」
たま〜に酷いことを言うこの少年。
だがレオンとは違い、自覚はない。
「何を言っておられるのですか!!?」
「そんな事実は「僕がその子供だよ」
必死に否定する年長者達を一瞥し、言葉を重ねた。
「この三人、そして父に言われた」
「彼方様!!そのようなことは!!」
寄ってくる三人を汚らわしいようなものを見るかのように一瞥した後、吐き捨てた。
「雷焔の里を滅ぼす原因になったのはこの三人の仕業。この事は風戸で始末をつけますので身柄を引き渡して下さい」
三人は恐怖にかられた。
それ程、彼方の視線は冷徹なものだったからだ。
「奏、そしてその兄よ。それでよいか?」
セレイルは雷焔の里の生き残り二人に確認した。
『はい』
二人は深く頷いた。
本心を言えば仇をとりたかったが、無罪にしてもらった手前、これ以上我が儘は言えなかった。