誠-巡る時、幕末の鐘-
「さて、後決めるべきことは……あぁ、あと一つあった」
「君達の処遇だね」
レオンは彼方と珠樹を見やった。
セレイルが考えていた事も同じらしく、頷いている。
「雷焔彼方は風戸姓に戻ることとし、同じく珠樹は雷焔姓に戻ることとする。
また、珠樹は雷焔の里を復興させるために長になること。よいな?」
二人は頭を下げた。
「待て」
広間にまた別の低い声が響いた。
「雷焔彼方を風戸姓に戻してはならん」
「翁、どういうことですか?」
声のみをここに飛ばしてきた元老院長の言葉を、誰もが疑問に思った。
頭のきれる元老院の幹部達をもってしても理解できないらしい。
「長にするのは直系である珠樹で構わぬ。またそれが道理じゃ。これは雷焔彼方に対する罰とする」
「罰……ですか?」
一人、彼方だけは分かったらしい。
奏の方を見て、苦しげに呟いた。