誠-巡る時、幕末の鐘-



「雷焔彼方は二人の兄で居続けることが何よりの罰になるだろうて」




元老院長は神ではない。


だが、神に近しい存在だ。


貴船の祭神のように全てを見透かしたように言った。




「ふざけるな!!」


「身内に対して甘すぎる!!」


「元老院長として元老院の者が犯した風戸の里の半壊、どう責任をおとりになる!?」


「そもそも、あなたこそもうその地位を『黙れ』




三人分の体が宙を舞った。




近藤達は息を飲んだ。


目に見えない早さで、カミーユ、セレイル、レオンが三人に刀を突き付け、その力をふるった。




「あぁーっ!!私のは!?」


「お預け」


「ずるい!!私も!!」


「ミエ、僕達の分もありませんでしたから」




コリンとフェルナンドが宥めに入った。




「すまないな。私達がけりをつけてしまった」


「……いいえ」




セレイルが形式的に彼方に謝るも、全く謝意がこめられていない。


あくまでも形式的に…である。



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