誠-巡る時、幕末の鐘-



ミエは動かなくなった体をコツンコツン蹴った。


その表情は恐ろしい程口元だけが笑っている。




「身の程知らずな発言を不用意にするからこんなことになる。


次に生まれてくる時はそこをわきまえるのね。


まぁ、生まれ変われたらの話だけど?」




ミエはその可憐な姿からは想像できない程冷たく言い放った。


近藤達は固まっている。


無理もない。


こうもあっさりと鬼が死ぬとは。




「みなさん、大丈夫ですか?すみません。僕達、翁を冒涜されると許せなくて」




フェルナンドが軽い感じで様子を尋ねてきた。


体は大丈夫だが、目は三人の死体に釘づけだ。




「これ、どうにかして下さい。目によくありません」




もう一度言うが、フェルナンドに悪気は全くない。


むしろ、レオンの腹黒さを分けてやりたいと思える程だ。



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