誠-巡る時、幕末の鐘-



「ここの勝手場と畳と襖代。君持ちね?」


「この前も私だっただろう?」


「それはお前が壊したからだろうが」


「自分もやっただろうが」




懐紙で血を拭き取りながら、こちらはこちらで責任を擦り付けあっている。




「お前達……全員今すぐ戻ってこい」




ピタッ




元老院長の一言に、幹部達は全員動きを止めた。




「いいな?」


『…はい』




それから元老院長の声は途絶えた。




「勘弁してくれないかな」


「あんた達が翁を怒らせちゃったからこんな目に合うんじゃない!!」


「自分だって刀を取り出していたくせによく言う」


「とにかく戻るよ」


「この死体、運んでくださいね?」


「嫌だよ。そこら辺に埋めておけばいい」




この発言に焦ったのは近藤達だ。


そこら辺に埋めて化けて出てこられたらたまったものではない。




「何言ってるの。それこそまた翁に叱責を受けるでしょ。ただでさえ始末書は確実なのに」




レオンの言葉にみんな一安心した。



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