誠-巡る時、幕末の鐘-



「奏、ごめんね。私達行かなきゃ」




名残惜しげにそう言って、元老院へと戻っていった。


何故かエリオルが側にいないため、逃げないように腕をレオンに掴まれていた。




「どうすんだ?これ」




目の前には、血がべっとりとついた畳と襖。


血の匂いもする。




「出禁にしましょう。畳と襖はすぐに届けられるでしょうし」




その時、道場の方から悲鳴が聞こえてきた。




「どうした!!?」




土方が広間から顔を出して尋ねると、道場の方から隊士達が次々と慌てて出てきた。




「た、畳!!畳が!!」


「襖も!!降ってきて!!」


『………』




土方達は奏を見た。




「ほらね?すぐ届いたでしょ?」




奏は肩を竦めた。



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