誠-巡る時、幕末の鐘-
勘違いも程々に
―――半刻後
「終わったぜ!!」
「疲れた〜」
隊士達を中に入れる訳にはいかないので、全部自分達だけで張り替えを済ませた。
隊士達は全て見回りに行かせてある。
「お疲れ様です。はい冷たいお茶」
奏が冷ましたお茶をみんなに配った。
「ありがとな、奏!!」
「生き返る〜!!」
「死んでねぇだろうが」
永倉、藤堂、原田による漫才が始まった。
奏はそれを楽しそうに見ている。
「ただいま戻りました……っ!!!」
広間の襖が開いたと思ったら、開けた人物は目を見開いている。
「彼方様、珠樹様……」
「どうしたんですか?父様」
爺と響だった。
響は父親の様子に戸惑っている。
「響、おいで」
中から奏が手招くと、爺の横をすり抜けて、広間に入ってきた。
珠樹の顔を見て、響も口をパクパクさせている。
「あの……あれ?奏が二人?あれ?」
「奏。この子が爺と輝耀の子供?」
「うん、そう。響っていうの」
思いっきり言葉がおかしい響をおいて、二人は会話を進めた。