誠-巡る時、幕末の鐘-
「へぇ。輝耀にそっくりだね。初めまして、奏の双子の兄の雷焔珠樹だよ」
「……っ!!珠樹様、それは」
爺はまだ中に入れずにいた。
「爺、入って」
彼方に促されてやっと中に入った。
「雷焔の里を復興させる。長は珠樹が元老院長に選ばれた。正式な決定だよ」
「……珠樹様は」
「雷焔姓に戻されたよ」
爺の目から一筋の涙が零れ落ちた。
「申し訳ございませんでした!!風戸の要求を受け入れてしまい」
「仕方ないよ。僕という前例がいたんだし」
「彼方様、確かにあなたは風戸の間者でした。しかし、あなたは雷焔家前当主夫妻の仇をとって頂きました」
「爺、どういうこと?」
奏もまだまだ知らされていない事実があったのだ。