誠-巡る時、幕末の鐘-
「さて、雷焔の里を復興させるならみんなを呼び戻しましょう。珠樹様、早速準備をいたしましょう」
爺は立ち上がり、珠樹を促した。
「嫌だね」
『はい?』
奏と爺の言葉が重なった。
「里に戻る時は奏も一緒だよ。奏がここにいる間はここに僕もいるね」
いいでしょ?、と早くも近藤に許可をとっている。
許可というよりも決めたことを確認しているに近い。
「あぁ。構わんが…」
近藤は爺を見、奏を見、土方を見た。
その顔には、どうすればいいだろうか、と書いてある。
実際には書いてないが。
「ハァ〜。好きにしろ」
「もちろん、そのつもりだから。爺、何か用があったらこっちに持ってきて」
着々と自分の周りの環境を整えていっている。
こんなに行動派だったっけ?と奏も首を傾げるばかりだ。