誠-巡る時、幕末の鐘-
「あれどうしたんですか!?怪我は誰もしてないんですか?」
戻ってくるなり、開口一番にそう言った。
土方は、一体勝手場はどうなってんだ、と軽い目眩を覚えた。
「大丈夫。あれ、ミエ様達が朝餉作ろうとしてやっちゃったんだ」
あれでもマシな方なんだけどね、と奏は遠い目をした。
「ご飯とかどうなさってたんですか?」
「一回は私が作ったけど、後は私は食べてないから分かんない。どうしてたんですか?」
『外で食べた』
みんな口を揃えて、苦笑いだ。
「奏様、食事を抜かれるのは健康に悪いですよ?」
「分かった分かった。もう響が帰ってきたんだから食べるに決まってるよ」
爺のお小言を耳を塞いで聞こうとしない奏。
みんなはそんな日常にも満足することができた。