誠-巡る時、幕末の鐘-
「もちろん、妹としてじゃないよね?」
珠樹は沖田を剣呑な瞳で睨んだ。
「だったら?」
「やめときなよ。兄妹はまずいでしょ?」
沖田は杯を置き、珠樹をチロと見た。
「別にあんたが奏じゃないんだから構わないでしょ?」
珠樹は立ち上がり、斜に構えた。
「関係大有りだよ。僕は奏ちゃんが好きなんだ。奏ちゃんが困るようなことしないでよ」
「……っ!!お前に僕の何が!!」
珠樹は沖田に掴みかかった。
瞳は怒りに震えている。
完全に頭に血が上っていた。
「分かるよ。だって僕も君と似てるからね」
「………」
珠樹は目を細めた。
沖田は自嘲げな笑みを浮かべている。