誠-巡る時、幕末の鐘-
―――近藤の私室
「どうしたんだ?」
珍しく障子を返事を待たずに開けて入ってきた奏に近藤は目を丸くしている。
土方に対しては日常茶飯事だが、近藤に対してはきちんといつもならば挨拶をして、返事があってから入っているのだ、奏は。
「私、すごくいい案を思いついたんです!!このごろ暑くてみんな参っちゃってるでしょう??そ・こ・で・です!!」
奏はもったいつけるように二呼吸分、間を開けた。
「怪談大会をしましょう!!」
「か、怪談だって!?」
「はい!!妖も寄ってくるし、涼しくもなるし。みんなのためにもなって京の人達のためにもなる!!いい考えだと思いませんか!?」
奏の視線は期待に満ちている。
ここで駄目だと言ったら暴れだしそうな感じもしていた。