誠-巡る時、幕末の鐘-



「トシは許可したのか?」




近藤は奏の斜め後ろにいる土方の方に顔をずらした。


土方は肩を竦めている。




「土方さんじゃなくて、近藤さんはいいんですか?駄目なんですか?」


「私は構わないが……」




その後の言葉は奏にとって必要なかった。


局長の許可を取ったのだ。


これは最終決定だ。




「やったぁ!!土方さん、やっていいそうです!!」


「はぁ……もう勝手にしろ」




奏は言われなくても、とそそくさと部屋を出ていった。


その時に、近藤にしっかりと挨拶と礼を忘れることはなかった。




「すっごく気力回復してますね、奏ちゃん」


「あぁ。また肝試しん時みたいに大量に呼び込むことになんのかよ」




土方はややげっそりとしていた。


春に肝試しを奏にやらされたのだ。


その時は結構な量だった。


妖だけではなくて、アレが。



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