誠-巡る時、幕末の鐘-
「芹沢さん、今夜みんなで怪談大会するんですけどどうですか?」
「俺はいい。お前達だけで楽しめ」
「そうですか。……お酒も程々にしてくださいね?」
芹沢は酔っていない時がないと言われる程、いつも酒を飲んでいる。
今も微かに酒の香りが漂っていた。
結構強いの飲んでるし。
あ、私この香りの酒はまだ飲んだことない。
……じゃなくて。
危うく自分の嗜好に行きそうだった。
「そんなことより、お前も付き合え。まだ一回もお前と飲んでいないぞ?」
芹沢は薄く笑った。
「今度にしますよ。また誘ってください」
「お前、その台詞は聞き飽きたぞ」
肩を竦め、呆れた風に言った。
確かに、奏は芹沢からの酒に付き合えという言葉を、今と同じように返してきた。