誠-巡る時、幕末の鐘-



「誰から話すんだ?」




土方が胡坐の上に頬杖をっきながら尋ねた。


顔には、面倒臭ぇ〜、と大々的に出ている。


そんなものは無視だ。




「誰からしましょうか。先陣切りたい人!!」


「はいはい!!」




こう言ったら必ず手を挙げる奴がいる。


藤堂だ。




「新八さん、左之さん。今に見てろよ。俺の話で震えあがらせてやる!!」


「はいはい。分かったからさっさと話してみろよ?」




原田がニヤリと口の端を上げて笑っている。


完全に面白がっていること丸分かりだ。




「じゃあ、まずは平助から!!どうぞ!!」




奏の合図で、みんなが一斉に聞く姿勢になった。


といっても、静かになっただけだが。




「俺が読んだ本の中にこんな話があったんだけどな?」




そう切り出し、藤堂はゆっくりと話始めた。



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