誠-巡る時、幕末の鐘-



「僕、今、一人ぼっちでさみしいんだ。ここならみんながいてくれるし」




その言葉に……近藤はおちた。




「そうか、一人ぼっちは辛いよなぁ。よし!!成仏できるまでここにいるといい!!」


「近藤さん!!」




土方が声を荒げるが、今まで近藤が一度決めたことを覆せたことはあまりない。


今回も不首尾に終わった。




「トシ、この子がかわいそうじゃないか。一人ぼっちだなんて」


「…………はぁ」




土方は深いため息をつくしかなかった。


近藤の心の広さがまさか幽霊にまで及ぶとは。




「さすが、近藤さん」




沖田はニコニコとしている。


眉間にシワを寄せている土方とは大違いだ。



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