誠-巡る時、幕末の鐘-



「千早の姿が見えるのは、この屯所に人外の者が入ったら見えるように術をかけたんです。幽霊かどうかは分かりませんね」


「は??」




最初も気になるが、最後はもっと気になった。




「生きているか死んでいるかなら死んでいる部類ですね」




それは幽霊とみなしていいのだろうか。




「それよりうまい酒持ってきたんだ。飲むだろ??」


『飲む!!』




永倉、原田、藤堂が素早く答えた。




「じゃあ怪談大会はお開きだな」


「そうみたいだね」




もうすっかり宴会になろうとしている。


肩をすくめている奏自身も、鈴が持ってきたうまい酒とやらに興味があった。




「爺と響も今日は泊まっていきなよ」


「では、お言葉に甘えて」


「お世話になります」




今夜の宴会はどうやら遅くまで続きそうだ。



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