誠-巡る時、幕末の鐘-
主の名前を出すのは反則だ
―――土方の部屋
「それで?」
土方は眉間にシワをよせている。
(あんまりそうしてるといつかとれなくなるぞ絶対。
小筆の一本でも挟めるんじゃないか?)
「それで? …何?」
「どうしてそんな格好してんだって聞いてんだ!!」
とうとう土方は怒鳴った。
(うるさいな〜。嘘つくな。
それで? しか言わなかっただろうが。
それにそんなに怒鳴らなくたって聞こえてる。
何かが足りないんじゃないか?
カから始まってムで終わるやつとかな)
「そんなの別にどうだっていいだろ。あんたらには関係ない。……響は父親を探すために江戸から来たんだ」
星鈴は土方から顔を背けた。