誠-巡る時、幕末の鐘-
「なら大丈夫だな。行こうぜ!!」
『おう!!』
永倉の言葉に、三人はその商家の方角へと身を翻した。
向こうに、黒い煙が上がっているのが見えてきた。
すごい勢いで天へと上がっている。
焦げ臭い匂いも風に乗ってきた。
「あれだ!!」
「急ぐぞ!!」
四人は走る速さを早めた。
「近藤さん!!」
奏達が到着した時、火消し達が鎮火にあたっていた。
なんとか収まってきたようだが、まだ煙が燻りつづけている。
「芹沢さんは?」
「今、事情をトシと山南さんが聞いている」
近藤も困惑を隠しきれずにいる。
芹沢の横暴ぶりが目につくようになってきてしまったのだ。
このままでは……粛正。
奏の頭の中に、ふっと考えがよぎった。