誠-巡る時、幕末の鐘-
「一時的にだけど、長州の力をそぐことができる。……あくまでも一時的には、ね」
「……そうか。その手があったか!!」
男は手で膝をパシンと叩いた。
男は何やら考え事を始めた。
「言っておくが、私は幕府側でも朝廷側でもない。あえて言うなら……壬生浪側かな」
奏は薄く笑い、部屋を出ていった。
男は深々と頭を下げている。
一応もう一度言うと、ここは内裏で、この男は天皇だ。
だが、鬼であり、元老院の者である奏には全く関係ない。