誠-巡る時、幕末の鐘-



(響だけは疑われないように、身元をはっきりさせとかないとな)




「江戸から!?」


「一人でか!?」




星鈴の言葉に、みんなも驚きの表情を見せた。




(そうだぞ、響はか弱い女の子なのに一人で江戸から来てんだ。

まったく……父親は何やってんだか)




「えっと………はい」




響は口々に驚きと呆れの言葉を言われ、居心地が悪そうにしている。




(……そろそろ可哀想だな)




「話すことは話したんだ。行くぞ」


「あ、はい!!」


「ちょっと待てーっ!!!」




(……またかよ。

いい加減あきらめろよな。

人間、時には諦めも肝心って言うんだろ?

今がその時だと思うぞ?)



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