誠-巡る時、幕末の鐘-
「面倒くせぇ!!総司、縄貸せ縄!!」
「はい、どーぞ」
土方は捕縛用の縄を沖田から受け取った。
そして、奏の体をぐるぐると縛った。
「これでよし、と。ほら行くぞ。きりきり歩け!!」
「ちょっと。奏に何してくれてんの?」
今度は珠樹と土方が険悪状態に陥った。
大体、珠樹は自分が留守番なのが気に食わなかった。
「そこまでして連れていく必要ないでしょ?」
「悪いが、こっちは人手が欲しいんでね。……これでどうだ?」
「……その言葉、二言はないよね?」
「武士に二言はねぇ」
土方がニヤリと笑った。
一体二人の間でどんな密約が交わされたのか。
「はい、奏の刀。それと羽織」
「おう。総司、持っとけ」
珠樹から受け取った荷物を沖田に渡した。
それを見た奏は驚いたのなんの。
「たーまきー?」
「ごめんね、奏。条件が魅力的すぎて」
「裏切り者ーっ!!」
奏は土方によってズルズルと引きずられていった。
珠樹は奏達の姿が見えなくなると、屯所に入っていった。