誠-巡る時、幕末の鐘-



―――屯所




「お疲れさま、奏。どうだった??」


「裏切った珠樹には教えません!!」




あの後、目立ったこともなく、奏達は長州の残党狩りで功績をあげた。


といっても、奏は何にもしてないが。




「ふ〜んだ」


「機嫌直してよ。僕だって奏と一緒に残りたかったんだよ??」


「け〜っきょく、土方さんの肩を持ったくせに」


「あれは〜」




いつもは冷静な珠樹も、奏のこととなると違うようだ。


必死に弁明している。




「二人共、喧嘩はやめなさい」


「そうだぞ??兄妹仲良くが一番だ」




山南と近藤にたしなめられた。




「喧嘩じゃないですよ」


「奏、ならなんですねてんだ??」


「ちょっ、痛い」




原田が奏の頭をガシガシと撫でた。




「だって……珠樹が私より土方さんの考えを優先させたんだもん」


「……奏」


「なんじゃそりゃ」




要するに……土方への軽い嫉妬だ。


なんてことはない。



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