誠-巡る時、幕末の鐘-
―――昨日
「あれ??響〜、私がここに直してたお菓子知らない??」
奏は台所の戸棚をごそごそとあさくっていた。
お菓子が行方不明になったようだ。
響は夕食の下ごしらえをしていた。
それを千早が横で興味津々に見ている。
「いいえ??確か昨日まであったと思うんですけど」
「千早は知らない??」
「うん。僕知らないよ??」
「う〜ん。…誰か食べやがったな??」
奏は台所を足早に出ていった。
屯所の中をぐるぐる回ることにした。
犯人が見つかるかもしれないからだ。
「あ、平助達発見」
部屋でゴロゴロしている永倉達がいた。
見たところ、それらしきものは持っていない。
「なぁ、私が台所の戸棚に直してたたお菓子、知らない??」
三人共、奏の言葉に首を傾げている。
どうやら知らないようだ。
「俺、知らないぜ??」
「俺も、俺も」
「俺も知らねぇよ。ねぇのか??」
「うん、そう」
奏は口を尖らせて答えた。