誠-巡る時、幕末の鐘-



「たぶん総司辺りじゃねぇの??あいつ甘い物好きじゃん」


「あ〜、ありえるな」




藤堂の言葉に原田が返し、永倉もウンウン頷いている。




「島田は人のもの取らないしな」


「あぁ」




沖田が聞いたら怒りそうなことを、平気で言っている三人。


確かに島田は大の甘い物好きだが、人のものは決してとらない。


だが、沖田が人のものを取るかというとそれもないような。


まぁ、鬼の居ぬ間になんとやらだ。




「なるほどな。分かった、ありがとう」




奏は部屋を出ていった。




「なぁ、奏の言ってたお菓子ってどんなんだろうな??」


「あ〜、そういえば聞いてなかったな」


「なんだ、平助??実はお前か??」




永倉が藤堂を見て目を輝かせている。


奏に藤堂がいじられるのを見るのが楽しみなんだろう。




「残念でした。俺じゃねぇよ〜。勝手に取った奴勇気あるよなぁって」


「確かにな。あいつの菓子への貪欲なまでの欲し方は異常だからな」




三人はとにかくその哀れな人物の冥福を祈ることにした。


合掌。



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