誠-巡る時、幕末の鐘-
「沖田さん、いないなぁ〜。土方さんとこかな??」
奏は新たな目的地、土方の自室を目指した。
「っと!!一休みでもするか」
土方が茶をついでこようと立ち上がりかけた瞬間。
ガラッ
「土方さ〜ん!!失礼します!!」
奏が挨拶無しにいきなり障子を開けて入ってきたかと思うと、キョロキョロと部屋を見渡した。
「おいっ!!それ言うのは部屋に入る前だろうが!!」
「いいじゃありませんか。そんな細かいこと」
「細かくねぇ!!……お前、総司に似てきたな」
土方は半眼になっている。
前々からずっと思っていたことを思わず口に出していた。
奏は土方の前に素早く腰を下ろした。
「どの辺がですか!?注意しなきゃ!!」
「お〜お〜。注意してくれ、大いにしてくれ!!」
土方は腕を組み、奏をジトッと見た。
「ってこんなつまらないやり取りしてる暇はなかったんだ!!」
「まずそこが似てんだよ!!」
土方の怒声が響いた。
だが奏は耳をふさいでいたので効果は半減だ。