誠-巡る時、幕末の鐘-
「あ!!発見!!」
「ん??どうしたの??奏ちゃん」
沖田がちょうど他の隊士達と帰ってきた所だった。
隊士達には先に中に入るように促した。
「沖田さん……私のお菓子食べましたね??」
「何それ??どんなの??僕、知らないよ」
沖田だけには断定的に聞いた奏。
そこまで沖田を犯人にしたいのか。
「私が戸棚に直してた大事な煮干しです!!」
奏は襟を掴みかからんばかりだ。
沖田は呆れたような顔をしているが。
途端、沖田が何かを思い出すように、手を叩いた。
「あれ君のだったんだ」
「やっぱりお前かーっ!!!」
奏は拳を沖田の腹めがけて振るおうとした。
が、その拳が届くことはなかった。
「近藤さんに“これは誰のか知ってるか??”って聞かれたから、“響ちゃんが桜花のために用意したんじゃないですか??”って言っちゃった」
奏はピタリと動きを止めた。
そして、そろ〜りそろ〜り腕を引っ込めていく。
沖田は笑顔だ。
だが、笑顔が怖い奴もこの世には存在することを知っている。
少なくとも目の前にいるこの男はそうだ。