誠-巡る時、幕末の鐘-
「近藤さんが〜。そうなんですか〜」
奏は一歩下がった。
「そう。何??僕を疑ってたわけ??」
沖田は一歩近づく。
「いや、そうじゃないですよ??一人一人聞いて回っているだけです」
また一歩下がる。
「そう??じゃあ何で僕の時は断定的に聞いたの??」
また一歩近づく。
とうとう壁際に追いやられてしまった。
沖田の魔性の笑みがごく近くに見える。
他の女性方なら、この状況は喜ぶだろう。
だが、奏にしてみれば……。
何で話すだけにこんなに近づかなきゃならない!!?
とんと恋愛に興味がない奏だ。
「たまにはこういう状況もいいね??」
「何が??どこが??」
沖田は今の状況にご満悦だ。
カチャリ
「何してるの??二人共」
沖田の背に刀が当てられた。
奏はその声を聞くと、パアッと顔をほころばせた。
一方、沖田はどんどん不機嫌になっていく。
「奏に触らないでくれる??」
「珠樹!!」
珠樹の介入によって、奏は壁際から解放された。