誠-巡る時、幕末の鐘-
「奏は先に入ってなよ。僕は彼に話があるから」
「奇遇だね。僕も君に言いたいことがあったんだよ」
二人は連れ立ってどこかへ行ってしまった。
「近藤さ〜ん!!」
奏は屯所の中で近藤を探した。
「ここだ〜!!」
「ニャ〜」
近藤の部屋の方から大きな返事の声と、桜花の鳴き声がした。
「あ、いたいた。近藤さんだったんですね。私のお菓子持ってってたの」
「これ、奏君のだったのか!?すまない、桜花が腹をすかせていたようだから与えてしまった」
近藤は目に見えて慌てている。
日頃のお菓子への奏の執念を見せつけられれば、慌てもするだろう。