誠-巡る時、幕末の鐘-
交わした杯
―――屯所
「雷焔、帰ったか。待っていたぞ」
珍しく酒に酔っていない芹沢が奏の名を呼んだ。
「芹沢さん、何かご用でしたか??」
「今日こそ一緒に飲もう」
いつもの台詞だ。
だが、奏にはどこか違うように聞こえた。
「分かりました。遅くなってしまったので、みんなに帰ったことを伝えてから行きます」
「あぁ。酒は用意してあるからな」
「そうですか。では早く済ませてきます」
「あぁ」
芹沢は自分の部屋に歩いていった。