誠-巡る時、幕末の鐘-
今回、元老院長から寄越された書簡の文面からも薄々分かる通り、彼女らは人に非ず。
リュミエールは人間達が仙女と呼ぶようなモノで、星鈴はというと……まぁ後々分かることになるだろう。
元老院とは、そんな彼女達人ならざるモノを統率する政府機関のことを指す。
元老院長は、文字通り、そこのトップ。
ちなみに、暗黙の了解として、人外達の中でも能力が高い者達は皆、元老院に所属することになっている。
もちろん、ローゼンクロイツ・天宮家の面々や星鈴自身もその例から漏れることはない。
つまり、人間界の会社でいうと、社長から平社員にいきなり命令書が来たことになる。
けれど、最も注目すべき点はそこじゃない。
捕らえた妖を第五課長のところへ、という部分である。
ここで元老院のことを簡単に説明すると、第一から第六まで職務内容ごとに課が分かれており、第五課は外交・儀式を司っている。
外交には諜報任務も含まれており、情報収集も主な役割の一つ。
ゆえに、捕縛した妖を第五課へ連行するのはなんら問題ではない。
……第五課へ連行するのであれば。