誠-巡る時、幕末の鐘-
「芹沢さん、私、もう遅いから寝ます!!お休みなさい!!」
そのまま走って部屋を出ていってしまった。
「自分から頼んでおいて、本当に破天荒なじゃじゃ馬姫だ」
芹沢はむくりと起き上がった。
「……雷焔。頼んだぞ」
奏が走っていった方を見やり、そう呟いて、部屋の灯りを消した。
「奏。どうしたの??」
奏は部屋で泣き崩れていた。
珠樹は奏の背中をさすりながら宥めている。
「芹沢、さん、全部、知って、たよ。自分が、暗殺さ、れること」
「……そっか」
奏が嗚咽の合間合間にそう途切れ途切れに話した。
「珠樹、私、何も、できなかった!!」
「奏のせいじゃない。奏のせいじゃないんだ」
珠樹は必死に取り乱す奏を宥めた。
結界を張ったので、どんなに大声を出そうとも聞こえないようにしてある。
だが、奏の悲痛な叫びは珠樹には聞こえる。