誠-巡る時、幕末の鐘-
第一の粛正
―――九月十三日
「響、千早。栄太も誘って甘味を食べに行こうか」
奏がそう二人に提案した。
「わ〜い!!行く行く!!珠樹は??」
「僕も行くよ」
千早はすっかり響と珠樹がお気にいりらしい。
いつもどちらかに引っ付いてまわっている。
「じゃあ、みなさんに言ってきますね」
「あぁ、いいよ。もう言ってあるから」
響が走って行こうとするのを片手で制した。
「そうなんですか??」
響は首を傾げた。
「うん。だから早く行くよ」
奏の手に腕を掴まれて、響はよろけながらも歩き出した。
千早は珠樹に手を引かれている。
前を向いている奏の表情は、引っ張られている響が見ることはできなかった。
「………奏??」
響は奏の様子がおかしいことに気付いた。
急いで屯所を出ようとしている。
土方に追いかけられている時とはまた違う感じだ。
響はそっと屯所を振り返った。
嫌な予感がする。
響の予感は、当たっていた。
だが、まだ彼女はそのことを知らない。