誠-巡る時、幕末の鐘-
―――甘味処
「おいし〜!!」
「うん!!」
栄太と千早はすっかり仲良くなっていた。
今も二人仲良く団子をパクパクと食べている。
響はそれを楽しそうに見ていた。
「あんまり早く食べると喉につまらせるから気をつけてね??」
『は〜い!!』
千早は今、奏が術をかけているので一般人にも視える。
団子が宙に浮くなんてことになったら、京都中どころか、江戸にまで噂が回ってしまう。
それは何としても避けたいがために、施した術だ。
「奏お姉ちゃん、大丈夫??」
栄太が奏の顔を覗きこんだ。
その瞳は心配げに揺れている。
「ん??大丈夫だよ??」
「嘘だ〜。だって団子一本も食べてないもの」
奏の皿にある団子を指差して言った。
団子は運ばれてきた時のまま、手付かずで置かれていた。
普段の奏ならありえない。