誠-巡る時、幕末の鐘-
「栄太もまだまだだなぁ。団子は出されてからしばらく待った方がおいしいんだよ」
奏はそううそぶいた。
全く何の根拠もない嘘だ。
だが、純粋な子供はしっかりと騙された。
「そうなんだ。千早、知ってた??」
「全然。初めて聞いた」
千早もフルフルと頭を振った。
それも当然だ、嘘なのだから。
「だけど、これは人の好みだからね。栄太達の場合は早く食べないと食べられちゃうよ〜??」
奏は意地の悪い笑みを浮かべて、冗談っぽく言った。
栄太達は奏に取られると思ったのか、さっと自分達の団子を隠した。
それを見て、奏は大笑いしている。
だが、響と珠樹にはそれは無理に笑っているようにしか見えなかった。