誠-巡る時、幕末の鐘-



「遺体を丁寧に埋葬してあげて。何かに目をつけられないうちに」


「あぁ、分かってる。おい!!」




土方の合図とともに、新見の遺体が屯所から出された。


埋葬地に行くのだろう。


奏はそれを黙って見ていた。




「新見、あいつも逝ったか」


「芹沢さん」




芹沢の姿も、もちろんそこにあった。




「雷焔、死んだ魂はどこへ行くのか知ってるか??」


「まずは冥府に行くんです。冥府の官吏殿は怖いですよ。気をつけなきゃ」


「そうか。気をつけるようにしなければな」




芹沢は自嘲気味に笑った。


そして、自分の部屋にゆっくりと戻っていった。




「芹沢さん……」




さっきの言葉は、新見に対して言ったのか、それとも自分に言ったのか、はたまた両方なのか。


それは芹沢にしか分からない。


奏もみんなと一緒に中に入っていった。




響にはきちんとゆっくり話そう。




そう心に誓って。



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