誠-巡る時、幕末の鐘-
――九月十三日
壬生浪士組副長新見錦
切腹――
―――翌日
九月十四日、朝廷から正式に芹沢鴨の捕縛命令がでた。
朝、目を覚ました響に昨日のことを話した。
気丈にも、泣くのを堪えていた。
やはり、響は優しすぎるのだ。
奏はそう感じた。
これから訪れる別れに耐えられるのだろうか。
別れは決定的なものになった。
人の運命を覆すことはしてはならぬこと。
ならば……。
奏は考えた。
この穢れのない純粋な子を守るために、一生嘘を背負っていこう。
気づかれないように、悟られないように。
その者の死の真相を押し隠そう。
たった一人の……大切な従妹の心を守るために。