誠-巡る時、幕末の鐘-
角屋での大宴会
―――九月十六日、夜
「今夜はたんと楽しめ!!」
「響、お酒飲もっか!!」
「わ、私お酒飲めません!!」
今日は壬生浪が贔屓にしている島原の角屋で宴会が行われている。
「土方は〜ん。待ってたんやから〜」
「さぁさ。お酒を」
芸妓総あげだ。
土方や、楠など美男子と言われる男達には芸妓達が群がっている。
楠は女のような顔をしているからモテる。
確か、美男五人衆とかいうのの一人だ。
あ、珠樹も捕まった。
滅茶苦茶嫌そうな顔をしてるよ。
駄目だな〜。
女の人は優しく扱わなきゃ駄目なのに。
こんなことを思っている奏だが、今一番の罪作りは奏である。
何故ならば……。
「雷焔はん、どうしてもっと来てくれはらんの?」
「うちら、み〜んな待ってたんよ?」
「お仕事が忙しいんよ。そんなことも知らんの?」
「お仕事が大変なんや。やっぱりうちが一番雷焔はんのこと知っとるな〜」
『何やて〜!!?』
芸妓同士で喧嘩になっている。