誠-巡る時、幕末の鐘-
「誰が魔性の女だって??」
いつの間にか土方達の前に仁王立ちしている奏。
その声はとても低い。
「私の大切な響を魔性の女扱いですか??土方さん、それは言っちゃいけない台詞ですねぇ」
まだ大丈夫だ。
たくさんの芸妓が見ている。
いくらなんでも部外者が大勢見ている中で、毒舌が発揮されることは………
「今すぐ三徐の川を泳がせてやろうか??あぁ??」
…………あった。
酒に珍しく酔っているらしい。
顔がほんのりと赤い。
しかも、口調も荒い。
「総司!!こいつ、何本空けた!?」
土方は響達の隣で飲んでいた沖田に叫んだ。
「これくらいですかね」
沖田は空になった酒の容器を全部並べてみせた。
ざっと十二。
いくらなんでも飲み過ぎだ。
爺が里の復興の手配に駆け回っているので今不在なのだ。
奏はこの機を逃すことはなかった。
「おい、奏!!おめぇ、酒飲み過ぎだろ!!」
「はい??何であんたにそんなこと言われなきゃいけないんですか」
完全に悪酔いだ。
土方はいつもの頭痛がしてきた。