誠-巡る時、幕末の鐘-



「それより酒をついでくれんか??」


「まだ酔ってませんね、どうしたんです??」


「こううるさいとおちおち飲んでもいられん」


「あ〜、そうですね〜。確かに」




奏が辺りを見回すと、原田が腹芸を披露して、それを囃し立てる者達でいっぱいだ。




「さ、どうぞ」


「ん。………うまい。ありがとうな」




芹沢の目には、色々な思いが混じっているようだった。


奏も何も言わず、ただニコリと笑うだけだった。




「さて、屯所に戻って飲み直すか」


「局長が戻るなら私達も」




平山五郎と平間重助が立ち上がった。


二人は芹沢派の人間だ。




「お前達も帰るか。よし行こう」


「俺も帰るか。総司、おめぇはどうする??つまんなそうな顔しやがって」


「僕も帰りますよ、っと」




土方に続いて沖田も腰をあげた。



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