誠-巡る時、幕末の鐘-
永別の刻
―――深夜
暗闇の中、大雨が降っていた。
屯所に戻った芹沢達は、待っていた馴染みの芸妓達とそれぞれ布団に入っていた。
スウッ
障子が静かに開いた。
「……来たか」
芹沢は侵入者達に聞こえないくらいの小さな声で呟いた。
侵入者は四人。
思った通りの面子だ。
立場が逆だったら俺もこの四人を使うだろう、と芹沢は冷静に分析していた。
侵入者達は刀を抜いた。
だが、芹沢は動こうとしない。
ザシュッ!!
肉が切れる音が、激しい雨の音に混じって響いた。
「きゃあぁぁぁぁぁっ!!!」
女が叫び声をあげたのを聞いて、やっと芹沢は起き上がった。
さも、今起きたかのように。
「何だ!!?これはどういうことだ!!?」
芹沢は刀を取ろうとしたが、叶わなかった。
もとより、取るつもりはなかったからだが。
ザシュッ!!
ズバッ!!
背中を斬られたのが分かった。