誠-巡る時、幕末の鐘-



「奏お姉ちゃん、芹沢さんがいないよ。平山さんも」


「あぁ。もう会えないよ」


「僕はいるのに??」




千早はキョトンとしている。


まだぐずっている栄太を珠樹に預け、千早を抱っこした。




「芹沢さん達に連れていってもらえば良かったな」


「でも、僕、冥官嫌い」


「私も嫌いだ」




本当に嫌そうに言うので、思わず同調してしまった。


にしても千早は本当にどこかおかしい。


抱っこしてやはりそう思う。


霊にも気配はある。


それが全くないのだ。


奏の訝る様子に気づいたのか、千早が下ろすようにせがんだ。




「でももっと遊んで欲しかったな」




そう言うと、響の元に走っていった。



< 636 / 972 >

この作品をシェア

pagetop