誠-巡る時、幕末の鐘-
新撰組拝命
―――九月二十五日
芹沢さん達の葬儀から一週間が経ち、ようやく響も普段の笑顔が戻った。
芹沢さん達は壬生寺に葬られた。
対外的にも、長州藩士の仕業ということで広められている。
今は、桜花と一緒に日向ぼっこ中だ。
この頃だんだん寒くなってきた。
秋もいつのまにか過ぎていこうとしている。
「これが続けばいいのになぁ」
平穏な日々をこの動乱の時勢に望む方が無理というもの。
今も、誰かがこちらに走ってきている音がする。
「奏!!いたいた!!広間に行くぞ!!」
やはり、この騒々しい走り方は永倉、藤堂、原田だ。
原田に桜花ごと担がれて、広間へと連れていかれた。
……眠い。
抵抗する気も起きなかった。
「分かったから、走るな。落ちる」
歩く気にもなれない。
だって、なんでこんなに急いでいるか知っている。
「だったら自分で歩け!!」
「………」
原田の興奮気味の声に耳を塞いで、聞こえないフリをする。
何がそんなに嬉しいのか。