誠-巡る時、幕末の鐘-
「院の規則は人を殺さない、傷つけない、干渉しないというものです。まぁ例外はありますが」
(うんうん、厄介なんだなこれが)
現に甘味処であの男相手に刀を抜けなかった。
本当にそのことが悔やまれる。
「さて、本題に入らせていただきます」
まだ本題じゃなかった。
「星鈴様の真名は、雷焔奏」
「ちょっと!? 星々!?」
(なんで簡単に私の名を明かしてんの!
私、星鈴の名でさえ出すのを躊躇ったのに!)
密かに星々の説明に相槌を打っていた星鈴は、星々のまさかの発言に絶句した。
「これは、ミエ様からの言伝です」
「……」
(ミエ様の言伝ならば……反論できない)
星鈴は黙って聞く他に選択の余地は残されていなかった。