誠-巡る時、幕末の鐘-
「何者だ!!?」
近藤の厳しい声が飛び、みんなが刀に手をかけ、いつでも抜ける体勢に入った。
「ちょい待ち」
「ぐほっ!!」
奏が青年の上に飛び降りた。
そう、まさしく上に。
足から、ぐさっと。
「か、奏??生きてるか??そいつ」
思わず心配をしてしまうような扱いだ。
一見、人間のように見えるが、奏のこの容赦ない扱い方からして元老院の者だろう。
そう結論づけた土方はみんなの警戒を解かせた。
まぁ、いらぬ指示だったが。
「いいか??十秒やる。簡潔に手短にここにいる理由を話せ」
「案内中だった、今度人界に降りてこられた神がいなくなられました!!」
五秒もいらなかった。
だが、奏の顔はどんどん険しくなり、しまいには俯いた。
肩が震えている。
「星鈴、手を貸して頂けませんか??」
「あ、おめぇ。今は……」
藤堂が止めようとしたが、すでに遅し。
「だ〜れが、あんたを案内役にした。な〜にがあんたをここまで連れてきた」
奏は地の底から出すかのような声を出し、青年を睨めつけた。