誠-巡る時、幕末の鐘-



「案内役を命じられたのは翁で、ここまで連れてきて頂いたのは鷹さんです」


「そ〜か、そ〜か」




キヒキヒと笑い、人格破綻している奏。




「あのう……」


「何だ??」


「そちらの方々は??」




青年が土方達の方を不思議そうに見ていた。




「後だ。まず先にやらなきゃいけないことがある」




土方達は密かに心の中で、青年に大きな拍手と賛辞を送っていた。


奏の荒れようを見てもなお、相手にできるのか、と。


ぜひ見習いたいものだ。




「鷹〜。いるんだろ〜??……さっさと出てこねぇと鳥の丸焼きにすんぞ??」




バサバサと翼がはためく音がして、冷や汗たらした鷹が顕れた。




「俺はこいつをここに届けただけだ!!」


「誰にも迷惑かけてないってか??」


「あの……星鈴。鷹さんを責めないで「縄、貸せ」はい」




青年はどこから取り出したのか、すぐに奏に手渡した。




「そっち持って」


「ごめんなさいね、鷹さん」




ごめんなさいと言いつつ、青年の手が休むことはない。


あっという間に、烏天狗が宙吊りにされるという光景が出来上がった。



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